溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~
「と、いうことは、俺の考えは間違っているのか?」
悠里は顔を上げ、笑いすぎて目の端に滲んだ涙を指先で拭うと、口を開く。
「私が子作りに積極的だったのは……維心さんの方こそ、私と結婚した目的が子作りで、私はその時しか愛されている実感が得られないと思っていたからです。ううん、実感というよりむしろ、錯覚くらいに思ってた」
「なぜ、そんな。俺は結婚した当初からきみに愛を……」
愛を……口では伝えていなかった、かもしれない。
夫婦生活の最中には何度も囁いた記憶があるが、それを真実と受け取れない感覚は、俺もつい先日身をもって知ったばかりだ。
そうか、だから悠里はあんなにも〝言葉〟を欲しがっていたのだ。
愕然とした俺は、頭を抱えて盛大なため息をつく。
「なんて馬鹿なんだ、俺は……」
「そ、そんなに落ち込まないでください! 自分の気持ちをちゃんと伝えていなかったのは、私も同じですから」
こんなにも未熟で至らぬ俺なのに、悠里は優しく励ましてくれる。このままではあまりに男として情けない。
決めたぞ。俺は生まれ変わる。妻にも子にも、愛情を伝える努力を怠らない男に。