溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~
「なんか、腫れもの扱いで寂しい……」
自分のデスクでついそんな言葉をこぼすと、隣の席からふふっと笑い声がした。
「いいのよ、今の悠里ちゃんは甘えておけば。ホント体が大事なんだから」
おおらかに微笑んで私の肩に手を置くのは、今月育休から復帰したばかりの先輩、安田理絵さん。
本当は春から復帰予定だったけれど、希望していた保育園のゼロ歳児クラスに急遽空きが出たそう。
ちょうど早めに卒乳が完了した息子さんを預けながら、時短勤務で仕事をしている。
「でも、どうしても思っちゃうんですよね。仕方ないこととはいえ、いつもと同じ仕事ができない私は必要とされてないんじゃないかって」
「そんなこと言ったら、私だってさっさと四時で帰っちゃうじゃない。そのぶんは、悠里ちゃんがフォローしてくれてるでしょ? お互いさま」
理絵さんはそう励ましてくれるけれど、仕事のできる彼女は四時までにほとんど自分の仕事を終わらせていて、私のフォローなんて微々たるものだ。
そう思うとなかなか気持ちを切り替えられず、私の表情は暗いまま。