溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~
いけない、転ぶ……!
「悠里!」
前のめりになった私の体を、瞬時に体勢を低くした維心さんがしっかり受け止め、事なきを得る。
「ご、ごめんなさい。維心さん、大丈夫ですか?」
「俺のことなんてどうでもいい。悠里は平気か?」
「はい……」
答えながら手を置いた胸は、ヒヤッとしたせいか鼓動が速い。そのままお腹にも触れると、心なしか張っている気がする。
しかしこの程度なら、徒歩での出勤やちょっとした家事の後でも感じたことがあるから、許容範囲だろう。
とはいえ赤ちゃんはびっくりさせてしまったことには変わりない。私はそうっとお腹をさすりながら「ごめんね」と赤ちゃんに語り掛けた。
維心さんはその光景を幸福そうな眼差しで見つめ、私の手を取って歩きだす。
「昨日、健診だっただろ? どうだった?」
「はい。赤ちゃんはちゃんと成長していました。ただ、子宮頚管長っていうのが私はちょっと短いそうなんですけど……お腹の張りも出血もそれほどはないので、一応、先生は今のところ大丈夫って。ただ、私が仕事をしているので念のため張り止めの薬を飲んだ方がいいと」
「今のところ? 心配だな。次の健診でもっと詳しく聞いた方がいい」
「そうします。もし気になる症状が出たら、早めに受診してとも言われたので」