溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~
話しながら、会社の前に停まっていた彼の車に乗り込む。
妊娠が分かってからは、安全を第一に考え、助手席より後部座席に座るようにしている。シートベルトはお腹のふくらみを避けて伸ばし、金具でしっかり留めた。
「じゃ、出すぞ」
「はい。お願いします」
維心さんの車は中が広々としているので、運転席と後部座席とで会話をする時は大きな声を出さなければならなず、自然と会話は少なくなった。
いつもはそれがちょっと寂しいのだけれど、言いにくい話を抱えている私にとっては、今日だけ都合がよかった。
帰宅してすぐ、維心さんは夕食作りのためにエプロンを着け対面キッチンに立つ。
今日のように早い時間に彼が家にいる場合、妊婦の私に立ち仕事をさせないために、彼がほとんどの家事を担ってくれるのだ。
私はダイニングテーブルでひと息つきながら、その姿を眺めるのが好き。今日も料理の完成を待つ間、ジッと旦那様のエプロン姿を見つめ、うっとりする。
段々と、ニンニクのいい香りが部屋に漂ってきた。
「悠里、もうほぼ完成だから、味見してくれるか?」
「はーい」