溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~
キッチンに回って、フライパンを覗く。ニンニクのいい香りをさせているのは、トマトと牡蠣を使った、美味しそうなパスタだ。
「牡蠣なんていつ買ったんですか?」
「今回の出張は広島だっただろ? 土産にと思って、現地でオイル漬けを買ってきたんだ。牡蠣には妊娠中の女性に必要な栄養素がたっぷり入っているから、悠里にぴったりだと思ってな。ほら、あーん」
維心さんがフライパンからフォークでひと巻のパスタを取り、私の口に近づける。私は言われたとおりに口を開け、チュル、とパスタを吸い込み、もぐもぐしながら味わう。
外ではさすがに恥ずかしいけれど、家の中ではこんなふうに食べさせ合ったりするのは日常の光景。
私が妊娠してから夜の夫婦生活はできなくなったものの、こうしたじゃれ合いは増える一方なので、親密度は以前より増している。
「うん、美味しいです!」
飲み込んだと同時にそう言って微笑むと、維心さんはなぜかジッと私の口もとを見つめる。
それから私の肩に両手を置き、ゆっくり顔を近づけてきた。ドキン、と胸が鳴った次の瞬間、彼が私の唇の端をぺろりと舐め、一旦顔を離す。