溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~
「維心さん……?」
「唇の脇、オイルが少し跳ねていた。……と、いうのもあるが」
そんな言葉を紡いだ唇が、今度は正面から優しい口づけをする。ちゅ、ちゅ、と雨が跳ねるような軽いキスの合間、彼が吐息交じりに言う。
「どうしても、悠里の唇を食べたくなってしまった。出張の後はいつもそうだ。離れていた間の分を、取り返したくなる」
言ったそばからはむ、と上唇を食み、緩んだ唇の隙間から舌を入れ、さらに深いキスを仕掛けてくる維心さん。
「んっ、うれしい……ですけど。あのう、ニンニクの匂い、平気ですか?」
上目出遣いで、遠慮がちに尋ねる。維心さんは愛おしそうに目を細め、ふっと笑った。
「前に言っただろう? 悠里の唇は、たとえニンニク風味でも美味だと」
「あ、あれってふざけていただけじゃ……?」
「俺は大真面目に言ったつもりだ。甘くて、柔らかくて、病みつきになる中毒性があって……唾液の味は、まるで媚薬だ」
私の顎を掴み、親指で下唇をなぞりながら、維心さんが言う。
それだけで全身がぞくぞくして、今は眠らせている私の中の女の部分が、引き出されそうになる。
でも、赤ちゃんになにかあったら困るので、今はふたりで堪える時。維心さんにも頑張って、我慢してもらわないと。