溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~

「じゃあ、キスはもうお預けです。これ以上維心さんが媚薬に侵されたら大変ですから」

 私はそう言って、彼の唇にトン、と人差し指を置く。維心さんはちょっと残念そうな顔になりながらも、私の肩から手を離した。

「そうだな。せっかくのパスタも冷めるし、そろそろ夕飯にしよう。悠里は先に座っていて」
「ありがとう、お願いします」

 本当は手伝いたい気持ちもあるけれど、維心さんが絶対に許してくれないので大人しく席に着く。

 維心さんはパスタの他にサラダとスープも作ってくれていて、お洒落なイタリアンカフェで出てくるようなメニューに感動した。

 テーブルを挟んで向かい合い、ふたりで「いただきます」と手を合わせる。

 私はさっそくフォークを手に取り、くるくるとパスタを巻き取って牡蠣と一緒に口に入れた。

 ぷりっとした牡蠣の身と、玉ねぎとニンニク。具材はシンプルなのに旨味が濃くて、リッチな味わいだ。

「美味しい……。維心さん、天才です」
「俺というより、オイル漬けの手柄だよ」
「でもやっぱり、維心さんの愛情が入っているからだと思います」
「ああ、それなら自信がある。むしろ、味付け過多かもしれないな」

 苦笑する維心さんに、私もクスクス笑う。

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