溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~
美味しい食事に楽しい会話。目の前には大好きな人。私が欲しかった、幸せな結婚生活がここにある。
しかし、いつまでもそれだけを受け取っているだけではいけない。
私の結婚相手は、私とは違って特別な……桐ケ谷家の一族を背負うような人間だ。赤ちゃんの性別のこと、早くきちんと伝えなきゃ。
「あの、維心さん」
「ん?」
フォークを置いて、まっすぐ彼を見る。私のかしこまった様子に彼もなにかを感じたらしく、食事の手を止める。
「どうした、改まって」
「あの、実は、昨日の健診でわかったんです。赤ちゃんが、男の子なのか女の子なのか」
「本当か。教えてくれ。どっちだった?」
維心さんが目を見開き、椅子を一歩前に引く。
こんなに食いつくということは、やっぱり男の子を希望していたのかな……。
一瞬不安に駆られるが、すぐに打ち消した。私は維心さんがなにか言う前から、勝手に勘ぐったり不安がったりしすぎだ。
案ずるより産むがやすし。早く言ってしまいなさい、悠里。