溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~
我に返った維心さんが、なにかを思い返すように斜め上を睨む。しばらくしてこちらを向いた彼の目は、私を安心させるかのように穏やかだった。
「悠里にそんな気を遣わせてすまない。しかし、両親もそこまで非情な人たちではないはずだから、子の性別に関しては俺から話しておくよ。それでもし嘆くような両親なら、俺は縁を切る」
「維心さん……」
そんな状況にならないのが一番いい。それでも、彼の強い覚悟に胸がジンと熱くなる。
「家の事情なんかより、きみと子どもの方がずっと大事だ」
真摯な瞳でそう告げられ、私は感極まってうなずいた。
維心さんは、ここ数カ月で本当に変わった。考えていることは全部言葉にして伝えてくれるし、私の不安や心の揺れにもとても敏感で、いつも気に掛けてくれる。
やっぱり、この人と結婚してよかった。
そんな思いに浸りながら、食事を再開しようとしたその時。突然お腹が張って固くなり、鈍く痛みだす。
「痛っ……」
私はお腹を押さえ、もう片方の手をテーブルについて痛みが引くのを待つ。私の異変にすぐさま気付いた維心さんが、私のそばまで来て背中にそっと手をあてる。
「悠里? お腹が痛いのか?」
「はい……。あの、お薬を……」