溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~
確率はかなり低いけれど、もしもこの質問を否定してくれたら、彼との結婚はまた別の意味を持つ。
そうなったら、どんなに幸せだろう。期待するだけ無駄かもしれないのに、私はドキドキしながら彼の返事を待つ。
「欲しい」
しかし、耳に飛び込んできたのは、私のささやかな望みを打ち砕く、残酷な答え。
「今すぐにでも、きみとの子が欲しい。すぐに入籍して一緒に住み始めて、妊活に入ろう。それまでに、少し体力をつけておいてくれ」
た、体力……彼は一体どれ程のペースで子作りをするつもりなんだろう。
処女ではないものの、経験値は決して高くない私が相手で、本当によかったのだろうか。
「わかりました。ご期待にそえるよう、頑張ります」
半ばやけくそでそう宣言すると、部長はうれしそうに「よろしく」と呟いて、残りのファイルを片付ける作業に戻った。