溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~
「朝ごはんにしよう。立てるか?」
先にベッドを下りた彼が、私の目の前に手を差し伸べる。
「ありがとうございます」
遠慮がちにその手を取って、床に足をつける。自分ではしっかり立ったつもりなのに膝に力が入らなくて、尻もちをつきそうになった。その瞬間、維心さんの強い腕がグッと私の腰を支え、自分の方に引き寄せる。
密着した彼の体温に、朝から胸がドキドキ高鳴った。
「ごめんなさい」
「いや、完全に俺のせいだ。とりあえず、リビングまで連れていってやる」
「えっ? ……きゃっ!」
彼が身を屈めた次の瞬間、私は軽々お姫様抱っこされていた。
落ちないよう自然と彼の首に腕を回すと、甘く微笑む維心さんと間近で目が合う。その瞬間胸がきゅっと締めつけられ、私はそのまま彼に体重を預けた。
なんで優しくするのかな。子作りのアフターケア?
わざと色っぽくない理由を探し、騒がしい胸を宥めようとする。
けれど逞しい腕に支えられながら心地よい揺れに身を任せていると、都合のいい勘違いをしそうになる。本気で、彼に愛されているんじゃないかって。