もっと蜜溺愛婚 ~冷徹御曹司は努力家妻への溺愛を止められない~
そんなはずはありません、柚瑠木さんはいつだって余裕の表情で……ほら、今だって拗ねた私の顔を見てもちっとも困ってなんていないじゃないですか。
だけどそんな私の気持ちも彼にはすべてバレているようで……
「余裕あるようにくらい振舞わせてください、僕は月菜さんよりずっと年上なんです。少しでも貴女の頼りになる夫でありたいんです」
「……それを嫌だと言える妻はいないと思います」
そんなの嫌なわけありません、柚瑠木さんがそう思ってくれることはとても嬉しいです。私が彼よりずっと年下であることを気にしてるように、柚瑠木さんも同じように気にしてくれているんですね。
それなのに素直に態度に出すことが出来ないのは……
「でも、私だって柚瑠木さんに釣り合うような大人の女性になりたいんです。強くてしっかりした大人の……」
「月菜さんが強い大人の女性になっても僕の気持ちは変わりませんよ? 僕は夫なんです、可愛い妻をいつだって甘やかしたい」
そう言って手を伸ばし、私の身体を優しく引き寄せる柚瑠木さん。平日とはいえ人目がある場所でこんな……
「ゆ、柚瑠木さん! 分かりました、だから少し離れてください」
周りの人の視線が気になり真っ赤になって柚瑠木さんにそう頼めば、彼はすぐに腰に回した腕を離してくれました。
柚瑠木さんが外でこんなに大胆な事をする人だとは思っていませんでしたし、自分の要求を私に断れなくするためにこんな手を使うだなんて……
私はもっともっと彼の事を深く知らなければいけませんね。