もっと蜜溺愛婚 ~冷徹御曹司は努力家妻への溺愛を止められない~
柚瑠木さんのそんな行動にドキドキと音を立てる胸が静まるのを待って、今度は私から彼の腕に自身の腕を絡めてみせます。いつもは手を繋ぐことが多い私達ですが、今日は少し高めのヒールのお陰でこうすることが出来たんです。
それでも背の高い柚瑠木さんに必死にしがみついているようにしか見えないかもしれませんが、これが私にとっては精一杯だったので……
「僕からは触れるのは駄目なのに、月菜さんからくっつくのはOKなんですか?」
そう言って楽しそうな笑みを浮かべる柚瑠木さんにまたドキリとしたり。私が頑張って大人の女性になろうとしても、結局こうやって彼に振り回されてしまうんです。
だけどそればかりでは悔しいんです、だから……
「はい、今日は私の誕生日なので私の好きにしていいんです!」
なんて言ってみたのですが、柚瑠木さんはその言葉を聞くと吹き出す様に笑い出してしまって。大人っぽいどころか逆に子供みたいな発言をしてしまったんだと気付いて、恥ずかしさで顔が真っ赤になってしまいました。
「ふふ、やっぱり月菜さんはそのままでいいと思います。そうやって僕をずっと……」
嬉しそうに笑いながら私の耳に唇を寄せて、そっと彼は囁くんです。
……僕を、ずっと笑顔にしてくださいね、と。