もっと蜜溺愛婚 ~冷徹御曹司は努力家妻への溺愛を止められない~
柚瑠木さんはその後私が何度甘やかさないでとお願いしても、首を縦に振ってくれることはありませんでした。結局なんだかんだと柚瑠木さんにうまく言いくるめられて、私は彼にこれからも甘やかされる毎日を送る事になるのでしょう。
「もう、知りませんからね! 柚瑠木さんがこんな我が儘な妻じゃなかったのに、なんて未来で後悔しても」
「月菜さんが僕だけに甘えてくれるなら、それで後悔なんてしません。貴女と出会って僕も欲張りになる事を覚えたんです」
ずっと自分自身の気持ちを押し殺して生きてきた柚瑠木さんが、今はこうして私を望み必要としてくれるんです。彼の方がもっと色んなものを欲しがっていいと思うのですが……
車は道路から小さな駐車場へと入り込み、柚瑠木さんがその一つにゆっくりと車を停めます。
「さあ、ここで少し休みましょう」
柚瑠木さんはシートベルトを外して車のドアを開けようとしましたが、私はそんな彼の袖を掴んで言いました。
「じゃあ! 柚瑠木さんが私を甘やかした分だけ、私に柚瑠木さんを甘やかせてください。これなら私も遠慮なく柚瑠木さんに甘えてみせますから」
私だって同じように柚瑠木さんに甘えてもらいたいし、どんな我が儘だって聞いてあげたいんです。どっちかだけじゃなく、こうしてお互い相手と心許し合いたい。