もっと蜜溺愛婚 ~冷徹御曹司は努力家妻への溺愛を止められない~
イヤリングに手で触れると細いチェーンがシャラリと音を立てます。その音まで可愛らしくて、わたしは「ふふふ」と笑ってしまいました。
ですが柚瑠木さんはそんな私を見て困ったような顔をしています。
「また、イヤリングなのかと思われるかもしれない。そう考えたのですが……月菜さんの笑顔にこれが一番似合う気がして」
言いにくそうに話す柚瑠木さん、ですが私はそんな彼にすぐ首を振ってみせます。そんなこと思うわけがない、と。
「いいえ、私の方こそ謝らなければならない事があります。今日クリスマスにプレゼントして頂いたイヤリングを付けて来なかったこと……」
本当は迷ってたんです、何度も箱を開けたりして確かめて。だけど最近の私はちょっと欲張りになってしまったようなんです。
だから、今日はわざとあのイヤリングを付けてはきませんでした。
「……ああ。ですが月菜さんの気分に合わなかったのであれば、それも仕方ないことですし」
「そうじゃないんです。そうじゃなくて、私は……あのイヤリングを付けるのは紫陽花の花の咲く季節まで待とうって」
そんな事って思われるかもしれません、ですが私の中にある本音はそれだけではなくて。
「そうですか、それならそうと言ってくれれば……」
「そうしておけば、次は紫陽花の季節に柚瑠木さんと二人で出かける口実が出来るかもって……」