もっと蜜溺愛婚 ~冷徹御曹司は努力家妻への溺愛を止められない~
椅子に座ったまま私を見上げる柚瑠木さんはとても驚いた顔をしています。やはりこの格好はおかしかったのでしょうか?
「ご、ごめんなさい。私一度着替えて……きゃっ!」
やはり自分にはこんな大人っぽい格好は似合わないような気がして戻ろうとすると、慣れない高めのヒールで躓きそうになって……
「大丈夫ですか、月菜さん? 僕は大人しく待っていたのに、どうして帰ろうとするんです」
すぐに柚瑠木さんが私の身体を支えてくれて、私は転ばずに済みました。でも、恥ずかしさで顔を上げることが出来なくて……
「だって……柚瑠木さんは私の格好が似合わないから驚いていらっしゃるんですよね?」
今日の私の服は香津美さんと二人で選んだもの。身体にフィットした白のキャミソールにブルーのシアーシャツ。そして大人っぽいマーメイドラインのロングスカートに合わせて、普段よりもヒールの高い白のアンクルストラップサンダル。
真っ直ぐな長い黒髪だっていつもは降ろしているか一つに束ねるだけですが、今日は大きめに編み込んで一纏めに。
普段は大人しめのワンピースばかり着ている私には、もの凄く頑張ったつもりのコーディネートだったんです。私よりもずっと落ち着いた雰囲気の柚瑠木さんの隣に居ても子供っぽく見えないように、と。
「そりゃあ、驚きますよ。今の月菜さん、いつもと別人のように大人っぽいんですから」
そう言って柚瑠木さんは、そっと私の身体を起こすと椅子へと座らせてくれます。