もっと蜜溺愛婚 ~冷徹御曹司は努力家妻への溺愛を止められない~


 バスタブに入れてくれたのは良いのですが、私はもう逆上せかけていてゆっくりとお風呂を楽しめる状態ではありません。私を掴まえようとする柚瑠木(ゆるぎ)さんの腕から逃れて、フラフラと脱衣所へ。
 タオルで身体を包むと、少しだけ休ませてもらおうと思いそのままベッドに倒れ込みました。火照った体に強めのエアコンの風が気持ち良くて、少しだけ目を閉じてしまいたくなります。

「そんな恰好で寝ていたら、無理矢理にでも起こして抱きますよ?」

「……柚瑠木さん!」

 柚瑠木さんらしくない言葉に驚いて勢いよく起き上がると、私の身体を包んでいたタオルがはらりとベッドの上に落ちてしまったのです。
 すぐにシーツにくるまりましたが、目の前にいた柚瑠木さんにはバッチリ見られてしまったはずです。何度も見られているとはいえ、まだ恥ずかしい気持ちもあり彼の顔を見れないでいると……

「散々誘惑しておいてお預けなんて、月菜(つきな)さんも随分と悪女になったんですね?」

「そんな、私そんなつもりじゃ……!」

 まさかそんな事を言われるなんて思ってなくて、急いで起き上がるとすぐに柚瑠木さんに手首を掴まれ引き寄せられて……

「はい、もう捕まえたので逃げないでくださいね」

 とびきりな柚瑠木さんの微笑みに、私はつい「はい」と返事をしてしまったのでした。


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