もっと蜜溺愛婚 ~冷徹御曹司は努力家妻への溺愛を止められない~
番外編 新しい出会いは必然で 前変
「月菜さん、来週の日曜は空けておいてください」
さっきまでスマホを操作していた柚瑠木さんが、テーブルの上の卓上カレンダーを確認してそう言いました。柚瑠木さんの方からそう言われることは珍しく、もしかしてデートの誘いかと期待してしまったり。
そんな私の願望が顔に出てしまっていたのか、柚瑠木さんは困ったように微笑んでスマホの画面を見せてくれました。
「もしかしたら、僕とのデートよりもよっぽど楽しいかもしれませんよ?」
なんて……柚瑠木さんとの二人の時間より大切な時間なんて私にはないのにと思ったのですが、見せてもらった画面の文字を見て私は「え?」と声を出してしまいました。
「やっと千夏が僕達と会う気になったようです。彼女の気が変わってしまわないうちに会いに行かなくては」
そう言ってニッコリと柚瑠木さんは笑いますが、スマホの画面に映された文章は……
『父に何を言ったのよ、柚瑠木兄さん! 私が兄さんの機嫌を損ねたようだから、会って謝れなんて急に言われてこっちは訳わかんないじゃない。とにかく来週の日曜は外出許可を貰えたから、その日にちゃんと聞かせてよ?』
これはもしかすると、柚瑠木さんが二階堂財閥の御曹司という立場を使って……?
「何をしたんです? 柚瑠木さん。千夏さんは随分怒っていらっしゃるようですが」
多分千夏さんを外に出すためでしょうが、千夏さんにとって困るような事を言っていないか心配です。従妹である千夏さんに対して柚瑠木さんがそんな事をする可能性は低いと思いますが。