もっと蜜溺愛婚 ~冷徹御曹司は努力家妻への溺愛を止められない~
「普段からそれくらい言いたいことを言ってはどうなんです? 千夏の事だから言われっぱなしのまま部屋に引っ込んでるんでしょう」
「余計なお世話よ、あの爺相手に好き勝手言ってどれだけ後が面倒になると思ってるのよ」
ええと、どうしましょう? 私の手を掴んだままなのに、柚瑠木さんと千夏さんは言い合いを始めてしまったようです。
止めた方がいいのでしょうか、従兄妹同士の喧嘩だと見守った方がいいのでしょうか?
「そうやって諦めて、千夏が言いなりになっていれば良いと思ってるんですか? あなたは何も悪くないのに」
二人に話の内容が分からないので、口を出す事も出来ません。ですがやはり千夏さんは好きでこの家に引きこもっている訳ではないようです。
「……生まれたことが悪いんですってよ、私は。さあ、この話はお終い! それより柚瑠木兄さん、約束のものは持ってきてくれた?」
それってどういう……? もしかして千夏さんは両親に望まれずに生まれてきたという事でしょうか、いったい何故?
柚瑠木さんはその千夏さんの言葉を聞いて、少しだけ厳しい表情をしているように見えました。
「ええ、頼まれたもの全て用意出来ましたよ。欲しければ今日一日、朝から晩までしっかりと僕らに付き合ってもらう事になりますが」
「一日中ですって!?」