君色ロマンス~副社長の甘い恋の罠~

副社長が連れてきてくれたのは、イタリアンのお店。
裏路地にあり、白の外壁にアンティーク調な扉が目を引く。
テラス席もあり、店内は広々として開放的だ。
色にバラつきのある木目調のインテリアでまとめられた店内はカジュアルな雰囲気を醸し出している。
あたたかみのあるオレンジの間接照明が優しく灯り、すごく居心地がよく感じた。

話を聞けば、その店は副社長が手掛けたお店だった。
どうりでお洒落なはずだ。

もちろん料理も美味しかった。
前菜のカルパッチョから肉料理、パスタにデザートまで美味しくいただいた。
しかも、普段飲まないワインをすすめられるまま飲み、私はフワフワしていた。

お店を出ようとしたら足元がふらついてしまい、副社長がとっさに支えてくれた。

「大丈夫?」

「すみません。だ、大丈夫です」

「もしかして伊藤さんはお酒弱い?」

「そんなことはないんですけど、普段ワインは飲んだりしないので」

「そっか。とりあえず、車まで歩ける?」

「はい」

副社長に支えられながら駐車場に止めてあった車に乗り込んだ。

「すみません、副社長はお酒飲んでないのに私だけこんなになってしまって……」

副社長が運転している横顔を見ながら謝罪する。
私だけ酔っぱらってヨロヨロ歩くとか恥ずかしすぎる。
挙句、副社長に支えてもらわないと歩けないとか申し訳ない。
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