君色ロマンス~副社長の甘い恋の罠~
ある日、会社を辞める女性の後任に、いとこの哲平が自分の幼なじみだという夏木美桜ちゃんを連れてきた。
例にもれず、彼女のことを美桜ちゃんと下の名前で呼んでいたら、哲平が「美桜の名前を気やすく呼ぶな」と言ってきた。
哲平はモテる容姿をしているのに誰の誘いも乗らず、告白されても「興味ない」の一点張り。
一時期、俺とつきあっているんじゃないかという噂まで出たぐらいだ。
そんな哲平が独占欲丸出しで美桜ちゃんのことになると「馴れ馴れしく美桜に近づくな」と牽制してくる。
片想いしていた幼なじみが彼女になったらしく、番犬のように目を光らせていた。
それが面白くてつい絡んでしまい、本気で嫌がり不愉快極まりない顔の哲平によく睨まれていた。
やり過ぎるとあとが面倒なので決して引き際を間違えることはしない。
そういう部分で、哲平は俺のことをお調子者を装って実は策士で腹黒だとぼやいている。
お調子者を装っているつもりはないけど、相手に悪い印象を持たれないように努力はしている。
向こうの出方をみて、次にこちらがどう動くか常に考える。
物事に対して上手く立ち回ったり、作戦を練るのは当然のことだ。
仕事でも足の引っ張り合いを何度も目にしてきたし、その醜い争いに巻き込まれたこともある。
そういう面倒なことを回避するには緻密な戦略が必要だ。
それで策士だ腹黒だと言われるのはどうかと思うが。