君色ロマンス~副社長の甘い恋の罠~

逸らすとこも許されない、その魅惑的な瞳に私は陥落寸前だ。
さっきからドクドクと鼓動がうるさく騒ぎ、必死に封じ込めていた想いが今にも爆発しそうになる。

「俺はそれだけじゃなかったら嬉しいんだけど」

甘やかな眼差しを向けながら副社長はとどめを刺してきた。
もうダメだ。
蓋をしていた気持ちが副社長の言葉で決壊した。

告白する勇気もなかった弱い自分の殻を破る時がきたんだ。
私は覚悟を決め、一歩踏み出すことにした。

「確かに社長に頼まれたからという責任感もありました。でも、それだけではありません」

「どういうこと?」

強烈な緊張感が襲ってくる。
気持ちを落ち着かせようと息を吐き、唾をゴクリと飲んだ。

「副社長のことが好き……だからです」

どうにか絞り出すように紡いだ本当の想い。
目の前の副社長は満足そうに優しく微笑んでいる。
まるで私の気持ちが分かっていたかのように。

「俺も香澄のことが好きだよ」

そう言って私の額に唇を寄せた。

「嫌だった?」

心配そうな声で尋ねてくる副社長に私は首を振った。
嫌とかいう感情は全くなかった。

副社長の指が私の唇をそっとなぞると、顔を近づけてきた。
とっさに目をつむると、副社長は唇に触れるだけの優しいキスをした。
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