君色ロマンス~副社長の甘い恋の罠~
夢見心地

その日の仕事が終わり、私は副社長がいつも通勤で使っている車の助手席に乗っていた。

明日は土曜日だし、社長から善は急げということで副社長の住んでいるマンションの下見に行ってほしいと言われた。
特に予定もなかったので、私は行ってみることにした。

副社長は最後まで微妙な顔をしていたけど、社長の圧に押されて渋々納得していた。

ほどなくして、高級そうなマンションの地下駐車場に車が到着した。
車から降りた副社長と一緒にコンシェルジュのいるロビーを抜けてエレベーターに乗り込んだ。
副社長は二十三階のボタンを押し、ふうと息を吐いて首をゴキゴキと鳴らした。
疲れているのかな。
最近、忙しそうにしていたし。

あっという間に二十三階につき、エレベーターを降りる。
副社長はカードキーで部屋の鍵を開けて私を招き入れた。

「どうぞ」

「お邪魔します」

ここが副社長が住んでいる部屋か……。
小さく挨拶し、靴を脱ぐと副社長が用意してくれたスリッパを履いて玄関から真っ直ぐに伸びた廊下を歩く。

リビングに通され、私は視線を巡らせた。
広々とした空間にはモノトーンで揃えられた家具、高級そうなソファにはワイシャツやネクタイなど無造作に置かれていた。
これって脱ぎ散らかしているってこと?

唖然として一瞬、固まってしまった。
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