君色ロマンス~副社長の甘い恋の罠~

「あ、ごめん。片付け苦手なんだよね」

気まずそうにソファに置いていた服を手に抱える。
散らかっている部屋や応接室を見た限り、副社長は片づけが苦手なのかな。

さすがデザイナーということもあり、部屋のインテリアとかお洒落でスタイリッシュだ。
だけど、こんなに散らかっていてはもったいない。
今日は下見と言われていたけど、この状況を見たらやらざるを得ない。
ここへきて使命感がふつふつとわいてきた。

「あの、とりあえず洗濯してもいいですか?」

副社長に許可を取り、私は動き出した。
シャツや靴下は洗濯できるけど、ワイシャツとかはクリーニングに出そう。
家事全般できるといってもアイロンだけはどうしても苦手。
洗濯するものとクリーニングに出すものと分けていく。

洗面所に行くと、ドラム式の乾燥機一体型の洗濯機が置かれていた。
そうか、高層マンションは外観が損なわれるとかで外に洗濯物が干せないんだっけ。
靴下やシャツ、タオルなどを洗濯機にかける。
クリーニングは帰るときに出そう。

「ワイシャツはクリーニングに出しますね」

「こっちで出すから大丈夫だよ」

「えっ、でも」

「フロントのスタッフに渡しておけばクリーニングの取次をしてくれるから」

「そうなんですね」

さすが高級マンションだ。
部屋の汚れが気になり掃除を……と思ったけど、時間も時間だから晩ご飯の方が先かもしれない。
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