無気力な幼馴染みの甘い溺愛が止まらない!
募る想い
【聖一side】
夏休みに入る直前。
4階という1番暑い階だからか、皆授業を集中して受けていない。
かくいう俺も集中してなかった。
その理由は違う。
頭の中は由妃でいっぱい。
由妃がここにいるだけで、つまらなかったことが何でも色づいてしまう。
ただ……
「あれ、白嶺さんじゃね?」
「ほんとだ!超美少女だよなー」
「あぁ、俺達の目の保養だ」
こういう声が嫌でしょうがない。
今は授業中だというのに、外で体育をしてる由妃を見て騒いでいる。
由妃の噂は一気に広まっていき、特に男に人気になった。
こいつらみたいに3年でも騒いでる奴がいる。
由妃はあれだけ可愛いから、モテるのはしょうがないんだろうけど。
胸の奥から湧き出る黒い感情が止まらない。
自分の独占欲の強さに呆れてため息を吐いた。
「なんか、ぼーっとしてたみたいだけど、どうしたの?」
霖がいち早く俺の様子に気づき、聞いてきた。
黎や穂希も俺の方を見る。
「別に何でも」
顔をそらして言ったけど、バレバレだったらしい。