無気力な幼馴染みの甘い溺愛が止まらない!
「あの、聖君」
「何、由妃」
恐る恐る呼びかけてみると、聖君は優しい顔をしてるからホッとした。
「明日のスポーツテスト、聖君が本気出してる姿を見てみたいな。私見たことないし、きっとかっこいいと思うから」
これで本気出してもらえるのかは分からない。
でも、見てみたいって気持ちは嘘じゃないんだ。
じっと聖君を見つめていると、何故か聖君は手で顔を覆った。
「どうしたの?」
「いや、何でもない……由妃は俺が本気出してる姿見たい?」
「うん、見たいよ」
だからこそ、言ってるんだよ。
「……分かった。明日は本気出して走ってみる」
「やったー!」
その言葉に嬉しくなって、つい聖君に抱きついてしまった。
「ゆ、由妃」
それに少し焦ったような声と様子。
自分から抱きついてくるのに、動揺するなんて変なの……
でも、なんだか嬉しい。
「お2人さん、俺達もいるんだけどー」
「なんか、もうすでに付き合ってると言われてもおかしくない雰囲気だよね」
「少しはわきまえてほしいがな」
冴木先輩達の言葉に我に返って、慌てて離れた。
「にしても、聖一君本気出すんだ?」
「まぁ」
「今年は面白くなりそうだな」
あまりそんなことを言わなそうな冴木先輩から言われて驚いたけど、私も同感。
明日、楽しみだな……
聖君達を見ながら、そう思った。