無気力な幼馴染みの甘い溺愛が止まらない!
さすが、白百合学園。
無様な走りは出来ないな……
「あ、次私だ」
「いってらー」
「頑張ってね、莉里ちゃん」
出席番号順だから、莉里ちゃんの出番は結構早く来た。
私は“し”だから、莉里ちゃん同様早い出番だけど。
「うん、ありがとう、幸、由妃」
行ってくると言って、スタートラインに立った。
「よーい、スタート」
その声と同時に莉里ちゃんともう1人の子はスタートした。
少しの差だったけど、莉里ちゃんの方が遅くゴールした。
でも、明らかに緩く走っているから、本気出したらきっと抜くと思う。
走り終えた莉里ちゃんが歩いてこっちに戻ってきた。
「莉里、何秒だったの?」
「9秒ジャストだったよー」
「去年と変わってないわね」
「そういう幸だって、それくらいにするんでしょー」
「まぁ、そうね」
……そんなに本気出したくないんだね。
苦笑いを浮かべながら、その話を聞いていた。
「あ、今度は由妃の番ね」
「頑張って、由妃!」
「うん、ありがとう」
すぐに私の番が来て、スタートラインに立った。
もう1人の子は足が速そうな子。
勝負とかにそんなに拘ってるわけじゃないけど、どちらが勝つかな。
ううん、速そうだから負けちゃうか。
でも、本気で走り切ることが出来たら、私はそれでいいや。
妙に騒がしいのが気になったけど、私は集中して耳を澄ました。
「よーい、スタート」
その声と共に走り始めた。
スタートダッシュは私の方が少し速い。