笑顔の花が咲くまでは#4~憧れの花が見せた感情~
フリージアが倒れ、1週間。あれからすぐに目を覚ましたフリージアは、シオンからしばらく休むように言われていた。
「……」
重い瞼を上げたフリージアは、体を起こすとため息をつき、頭をくしゃくしゃと乱雑に掻く。
「……っ」
不意に手を止め、フリージアは部屋の棚の上に飾られた写真に目を移した。
「……ジョン先輩……」
写真には、警察官の格好をしたフリージアと明るい笑顔を浮かべた男性が写っている。彼は、フリージアの憧れの先輩、ジョン・ルドベキアだ。
フリージアは無表情でしばらく写真を見つめた後、カーテンを開いた。しばらく外に広がる景色をぼんやりと眺めていたフリージアは、ふと時計に目を移す。
時計の針は12時を指しており、時間を見たフリージアは驚いた。
「……もうこんな時間なのか……今日は、どこかに食べに行くか」
そう呟いて、フリージアは身支度を整えると外に出た。
「あれは……」
フィオナが町を歩いていると、見慣れた後ろ姿を見つけ、近づく。
「フリージアさん」
「……ん?」
フィオナが声をかけたのは絵の具で汚れた白いTシャツを着たフリージアで、フリージアはフィオナの方を見た。
「フィオナか……今からご飯を食べに行こうと思っているんだが、一緒にどうだ?」