大っ嫌いなのに………
「樹、叶花の入院道具持ってくるからいったん帰る 」
今、声かけたのはまだ医者になったばかりの後輩の山本 樹だ。
まだ医者としての経験は浅いけど、研修医時代から熱心に勉強していて、とても真面目な樹に好感を持っていたから、正式な医者となった時に叶花の主治医をお願いした。
「和樹先生がいない間叶花ちゃんのこと見てますね 」
頼んでいないのに、パソコン作業を中断して叶花の脈を取る樹
本当患者想いで良いヤツだ。
「ありがとう、助かるよ 」
そう言って俺は診察室を出た。