大っ嫌いなのに………
少しでも安心してもらいたくて優しく声をかけると、
叶花ちゃんは力なくだけどうなずいてくれた。
「よしよし。大丈夫だからね 」
そう言って、叶花ちゃんの服の袖をまくる。
和樹先生は手際よく準備をして消毒まで済ませた。
「じゃあ、チクッとするよ 」
「うっ……痛い……グスッ…… 」
「はい、終わりだよ。よく頑張ったな 」
「叶花ちゃん、頑張れてえらかったよ 」
「うん、グスン。痛かった 」
注射が終わって叶花ちゃんを抑えていた手を解いても
べったり俺にくっついたままの叶花ちゃんの顔を撫でてあげる。
「樹、慰めてあげてな 」
そんな様子を見て、和樹先生はニヤニヤしながら診察室を出て行ってしまった。