Bittersweet chocolate
それは、少し特別な日の朝
「麗奈、今日もしかめっ面してる~」
「……してない」
朝の教室。だんだんと人が増えて騒がしくなってきた中、私の机の方へ一人の少女がやってきた。
茶色のナチュラルボブの髪を揺らし、彼女――杏里は私の前の席のイスを引き、そこに座り、私の方へ振り向く。
「いーや、してるね。この眉間のしわはなんだ、えい、えい」
そう言いながら、つん、つん、と眉間をつっついてくる杏里。
ほっぺを引っ張って応戦すると、「いひゃい」と気のぬけるような声で抗議され、思わず笑いがもれた。
「やっと笑ったね」
そう言ってニヤリと口の端を上げた杏里のドヤ顔が面白くてまた笑ってしまう。
彼女といると落ち込んでいたことも忘れて笑ってしまうのが、今の私にとっては救いだった。
「……してない」
朝の教室。だんだんと人が増えて騒がしくなってきた中、私の机の方へ一人の少女がやってきた。
茶色のナチュラルボブの髪を揺らし、彼女――杏里は私の前の席のイスを引き、そこに座り、私の方へ振り向く。
「いーや、してるね。この眉間のしわはなんだ、えい、えい」
そう言いながら、つん、つん、と眉間をつっついてくる杏里。
ほっぺを引っ張って応戦すると、「いひゃい」と気のぬけるような声で抗議され、思わず笑いがもれた。
「やっと笑ったね」
そう言ってニヤリと口の端を上げた杏里のドヤ顔が面白くてまた笑ってしまう。
彼女といると落ち込んでいたことも忘れて笑ってしまうのが、今の私にとっては救いだった。
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