Bittersweet chocolate
そう思って、がっかりしながら廊下を歩く。

目指す先は……

「いらっしゃい、麗奈ちゃん。今日も当番よろしくね」

にこ、と人好きのする笑みを浮かべて私に話しかけてきたのは、小林(こばやし)結衣(ゆい)先生。

横で結んだ髪を前に流して、凛として佇む姿は大人の気品に溢れていて、私の憧れだ。

先生は本を片手に、部屋にずらりと立ち並ぶ本棚の一角にいた。

――ここは、図書室。

沢山の本棚が並び立ち、そこに数え切れない程蔵書が詰まっている様子は圧巻の一言。

すうっと息を吸いこめば、紙やインクの発する独特な匂いが鼻をついた。

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