お嬢様と羊

｢陽葵？｣
｢一弥、羊以下よ！コイツ等｣
陽葵はあいている、ソファに座り足を組んだ。

｢カシラ、この女…ほんとに、喜多川 陽葵？｣
晋輔が陽葵を指差して言った。

｢ねぇ！いきなり触らないで！しかも、呼び捨て？
一弥、どんな教育してんの？｣
｢陽葵、落ち着け！｣
｢はぁぁ？
羊！ちゃんと、教育して！
今すぐに！！
あと、喉乾いた！なんか飲み物ちょうだい！｣
周りの仲間達は、かなり驚いていていた。

｢おい！女！
言わせておけば……いい加減にしろよ！｣
その中で晋輔だけは、怒りで震えていた。

晋輔は一弥を慕っていて、一弥のことを悪く言ったりバカにするとすぐに突っかかっていくのだ。

そして案の定、晋輔が陽葵に殴りかかったのだ。

パシッ━━━━！！
陽葵に当たる寸前に、一弥が晋輔の拳を止めた。
陽葵は全くビビることなく、晋輔を見上げている。

｢晋輔、やめろ……！！｣
｢キング！！なんで、止めんだよ！？
え……？｣
晋輔が急にビクつきだした。
それは、一弥の雰囲気が恐ろしかったから。

｢陽葵に手を出すな…
俺が許されねぇ……｣
｢一弥、いいのに…殴られても｣
｢は？何言ってんだよ！ふざけるな！｣
一弥が陽葵に怒鳴る。

｢だって殴られたら、殴り返せるでしょ？｣

｢は？陽葵…何言って……｣
｢一弥は分かってないわ！私はおしとやかじゃないって言ったでしょ？｣
そう言って、立ち上がった陽葵。

｢えーと…あなた、晋輔って言ったわね？｣
｢は？あぁ…｣
｢もう一回、殴りかかってきなさいよ｣
｢え？｣

｢いいから｣
陽葵はニコッと微笑み、言った。