お嬢様と羊
自宅マンションに帰ってきた二人。

「一弥、約束…忘れないでね!」
ソファに並んで座り、陽葵は一弥の肩に頭を預けて座っている。

「わかってるよ?
でも、死ななきゃいいよな?」
「え?」
「俺が死ななきゃ、いいんだろ?」
「どうゆう意味?」
陽葵は、一弥に向き直る。

「だから!陽葵を守って死ななきゃいいんだろ?
俺は守って死ぬなんてことしない。
きっと、その時は……陽葵も連れて逝く!」

そして一弥は、陽葵の額に自分の額をくっつけ囁く。
「俺は陽葵を、一人になんてしない……」

「ほんと…?」
「うん…」
そのまま口唇が重なった。

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「おはよう!陽葵」
「おはよ」
陽葵が起きて、ダイニングに向かうと一弥が朝食の準備をしていた。

「朝ごはん、出来てるよ?」
「ん。ありがと。
いただきます」
ゆっくり、口に入れる陽葵。

「どう?」
「ん。不味い…
つか、辛い!」
「嘘!?マジで!?」
「嘘、言わないわよ!」
テーブルに箸を置く、陽葵。

「………ほんとだ…」
「次から私が、食事は作るわよ!」
「ごめん…」
「どうして謝るの?」
「だって、俺…執事だし」
「違うわ!」
「え?」
「一弥は、私の恋人よ!」
「陽葵…」
「どうせ、パパのことだから一弥がすぐ辞めると思って言ったんだと思うのよね……」
「だろうなぁ」

「辞めないでね?」
「当たり前だろ?一人にしないっつただろ?
陽葵の親父がそんななら、俺にだって考えがある」
そう言って、煙草を咥えた一弥。
そして火をつけた。
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