お嬢様と羊
「えー!嫌よ!今日は、ショッピングに行きたいの!」
次の日の朝、朝食を食べながら陽葵に伝える一弥。

「ダメだよ!!できる限り、陽葵の親父の言うことは聞かねぇと!」
「なんで?」
「誠実に生きて、交際を認めてもらう為」
「一弥、そんなこと考えてたの?」
「そうだよ。
何も文句言わせないようにするには、誠実にこなすしかない!それが一番だ!」
「わかった」
「陽葵と駆け落ちとか考えたけど、相手は“喜多川 大志”だからな!絶対、上手くいかない!
だったら、認めさせるしかない!」

「一弥」
「何?」
「好きよ」
「ありがと」
「ほんとに年下かと思うくらいに頼りになる。
素敵!」
目を輝かせて言う陽葵に、一弥は顔を赤くしたのだった。

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「パパ」
「陽葵、おかえり」
「おかえりなさいませ、陽葵様」
屋敷に着き、大志の元に向かうとソファに座り煙草を吸っていた。
陽葵は向かいのソファに座った。
後ろに一弥がひかえる。

「九重くんが、会いたがっててな。
お前に連絡したいが、連絡先を教えてもらえないって嘆いてたぞ」
「そう。でも、教えるつもりないわよ」
「お前の婚約者だぞ」
「私は婚約者だと思ってない」
「俺は認めないぞ」
「は?」
「星野との交際」
「え?」
「パパがわからないとでも?」
「だってコイツは、お前が二年前に探してほしいって言った暴走族の小僧だろ?」
「知ってたの!?」
「あぁ。まさか星野が俺の前に現れるなんて思わなかったがな!星野の顔の広さには正直驚いた」

「最初から全部知ってて、一弥を執事にしたの?」
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