お嬢様と羊
「え…////?」
「え?何?」
「それはどのような意味で仰ったんですか?」
「は?」
「いや…だから、好きよってどうゆう意味なのかなと……」
「………」
「………」
二人の間に、異様な雰囲気が流れる。

「意味……必要?」

「え━━━━」
ブーッブーッブーッ………
その時、一弥のスマホが震えだした。

「少々お待ち下さい」
「……うん」

一弥が電話に出る為、部屋を出た。
シーンと静まる部屋。
「てか、察しろ…羊」

数分後、部屋に戻ってきた一弥。
「陽葵様、旦那様より本日の会社パーティー、必ず出席するようにと再度確認の連絡でした」
「それ、何とか行かないで済む方法ない?」
「無理です」
「はぁぁ?羊!どうにかしろ!?」
「どうにもできねぇよ!」
「………」
「あ、すみません!」
「やっぱ、会ったことある!
どこだろ?」
ジーッと一弥を見つめる、陽葵。

「イカロスって言う暴走族、聞かれた事ありませんか?」
「イカロス?
ごめん、わかんない。
でも、暴走族に一度だけ関わったことある」

「え?それって……」
「私のこと、助けてくれたの。
二年前くらいかな?
パーティーに出席中にパパと喧嘩して、会場を飛び出した時にチンピラに絡まれたの。
それを助けてくれた人が、暴走族の子達。
みんな強くてカッコよかった!
その中で一番強かった人の服がはだけて、胸が見えてんだけど、天使の刺青がある人だった。
お礼したくて、探したんだけど見つからないの」

「お礼……十分してもらいましたよ」

「え……?」
「俺、去年までイカロスって言う暴走族の総長してました」
そうやって、ジャケットを脱ぎカッターシャツのボタンを外した。
「え━━━?」

一弥の胸に、天使の刺青が彫られていた。
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