恋する理由がありません~新人秘書の困惑~
「俺たちはひょんなことで縁ができたけど、ただの知り合い止まりだった。実際、付き合ってなかっただろ?」
「そんな! 食事にも行ったしプレゼントもくれたわよね?」
彼女の勝手な言い分を聞いていると頭痛がしてきた。話にならない。
最初の食事とプレゼントは、彼女のスマホを壊してしまった詫びのつもりだったし、そのあと二度ほど食事に行ったけれど、それは彼女から話があると言われたからだ。
結局それは職場の愚痴などで、たいした話ではなかった。
それなのになぜ彼女の中で俺たちは付き合っていたことになっているのか、まったくわからない。口説いた覚えも、交際をほのめかしたことも一切ないのに。
「君に誤解させてしまったのは、男の俺が悪い。それでいい。君からのメッセージに、最近全然返事をしなかったのも謝る」
もう連絡しあうのはよそうと、半年くらい前に梓にはすでに伝えてあった。
俺は付き合うつもりがなかったから、期待を持たせないためだ。なのにそれを完全に無視して、彼女は一方的にメッセージを送り続けてきていた。
「だけど梓さん、現実を見て欲しい。俺は莉佐と付き合ってるし、愛してるんだ。たとえ君が莉佐に文句を言ったり嫌がらせをしても、俺の気持ちは変わらない」
「唯人さん!」
「だからもう、会社の近くで待ち伏せしたり俺のマンションの周りをうろうろしたり、メッセージを送るのも辞めてくれ。それをされたら、俺は警察に相談するしかなくなる」
今でも十分、ストーカー行為に当たると思うが、できれば穏便に済ませたい。
俺を警察に行かせないでくれ、と願うばかりだ。
「そんな! 食事にも行ったしプレゼントもくれたわよね?」
彼女の勝手な言い分を聞いていると頭痛がしてきた。話にならない。
最初の食事とプレゼントは、彼女のスマホを壊してしまった詫びのつもりだったし、そのあと二度ほど食事に行ったけれど、それは彼女から話があると言われたからだ。
結局それは職場の愚痴などで、たいした話ではなかった。
それなのになぜ彼女の中で俺たちは付き合っていたことになっているのか、まったくわからない。口説いた覚えも、交際をほのめかしたことも一切ないのに。
「君に誤解させてしまったのは、男の俺が悪い。それでいい。君からのメッセージに、最近全然返事をしなかったのも謝る」
もう連絡しあうのはよそうと、半年くらい前に梓にはすでに伝えてあった。
俺は付き合うつもりがなかったから、期待を持たせないためだ。なのにそれを完全に無視して、彼女は一方的にメッセージを送り続けてきていた。
「だけど梓さん、現実を見て欲しい。俺は莉佐と付き合ってるし、愛してるんだ。たとえ君が莉佐に文句を言ったり嫌がらせをしても、俺の気持ちは変わらない」
「唯人さん!」
「だからもう、会社の近くで待ち伏せしたり俺のマンションの周りをうろうろしたり、メッセージを送るのも辞めてくれ。それをされたら、俺は警察に相談するしかなくなる」
今でも十分、ストーカー行為に当たると思うが、できれば穏便に済ませたい。
俺を警察に行かせないでくれ、と願うばかりだ。