恋する理由がありません~新人秘書の困惑~
熱中症気味で体調が悪いところへメンタルにもダメージが来て、今日は散々だ。
こんな日はなにをしてもダメそうだから、残業などせずに定時で帰ろう。
だが、副社長室から戻って一時間ほど過ぎたころ、私は深沢部長にミーティング室に来るようにと呼び出された。
業務に関してだろうか、と最初に安直なことしか頭に浮かばなかった私は大バカだ。
椅子に腰を下ろし、私に視線を向ける深沢部長の眉間にシワが寄っているのを目にしたら、次第に嫌な予感がしてきた。
「仕事を中断させてすまない。海老原さんに確認事項があるんだ」
「……はい」
どういう話かわからないけれど私は心の準備をし、背筋を伸ばして深沢部長の言葉を待った。
「今日の昼ごろ、会社の近くで女性ふたりが言い争いをしているのを見た社員がいる。そのひとりが副社長秘書の海老原さんだったと、僕の耳に入ってきた。もし人違いならそう言ってほしい」
深沢部長としても、聞いてしまったからには私に確認せざるを得なかったのだろう。
会社に迷惑をかけて申し訳ない気持ちでいっぱいになり、私は椅子から立ち上がって深々と頭を下げた。
こんな日はなにをしてもダメそうだから、残業などせずに定時で帰ろう。
だが、副社長室から戻って一時間ほど過ぎたころ、私は深沢部長にミーティング室に来るようにと呼び出された。
業務に関してだろうか、と最初に安直なことしか頭に浮かばなかった私は大バカだ。
椅子に腰を下ろし、私に視線を向ける深沢部長の眉間にシワが寄っているのを目にしたら、次第に嫌な予感がしてきた。
「仕事を中断させてすまない。海老原さんに確認事項があるんだ」
「……はい」
どういう話かわからないけれど私は心の準備をし、背筋を伸ばして深沢部長の言葉を待った。
「今日の昼ごろ、会社の近くで女性ふたりが言い争いをしているのを見た社員がいる。そのひとりが副社長秘書の海老原さんだったと、僕の耳に入ってきた。もし人違いならそう言ってほしい」
深沢部長としても、聞いてしまったからには私に確認せざるを得なかったのだろう。
会社に迷惑をかけて申し訳ない気持ちでいっぱいになり、私は椅子から立ち上がって深々と頭を下げた。