恋する理由がありません~新人秘書の困惑~
「唯人のことで俺と茉梨さんが喧嘩する必要ないだろ」
「健吾さん!」
健吾さんがやってられないとばかりにボソリと文句を口にしたが、秋本さんが強めの声でそれを制した。
直後に彼女が私の顔色をうかがったところを見ると、私には聞かせたくない話なのだと想像できてしまう。
「俺たちが隠したり知らないふりをしても、どのみち莉佐ちゃんの耳に入るよ。それなら俺は、誤魔化したくない」
健吾さんの堂々とした口ぶりに押されるように、秋本さんはそのまま無言でうつむいた。
「私にも関係あることなんですね? 構いません。なんでも言ってください」
私としても親しい間柄の人たちから誤魔化されたり隠されたりは嫌だ。
なにか見聞きしたのなら、たとえそれが私にとって耳の痛いことであっても、正直に教えてほしい。
ふたりに交互に視線を向けていると、健吾さんが意を決したように私と目を合わせた。
「健吾さん!」
健吾さんがやってられないとばかりにボソリと文句を口にしたが、秋本さんが強めの声でそれを制した。
直後に彼女が私の顔色をうかがったところを見ると、私には聞かせたくない話なのだと想像できてしまう。
「俺たちが隠したり知らないふりをしても、どのみち莉佐ちゃんの耳に入るよ。それなら俺は、誤魔化したくない」
健吾さんの堂々とした口ぶりに押されるように、秋本さんはそのまま無言でうつむいた。
「私にも関係あることなんですね? 構いません。なんでも言ってください」
私としても親しい間柄の人たちから誤魔化されたり隠されたりは嫌だ。
なにか見聞きしたのなら、たとえそれが私にとって耳の痛いことであっても、正直に教えてほしい。
ふたりに交互に視線を向けていると、健吾さんが意を決したように私と目を合わせた。