恋する理由がありません~新人秘書の困惑~
「いや、蔵前家からは断られたんだろう? 母さんが結麻さんを振り回したから」
「なんですって!」
せっかく落ち着いて話せていたのに、唯人さんのひとことでお母様のこめかみに青筋が立ち、私は瞬間的にハラハラした。
しかし、結麻さん側が結婚の話を断ったのだろうか。そう聞こえたけれど。
「海老原さん、唯人には結麻さんがいるとわかった上で、あなたがふたりの邪魔をしたんじゃないの?」
「いえ、あの……」
私が結麻さんになにか意地悪をしたとか、仲を引き裂く工作をした覚えはないけれど、お母様からすればそう見えたのかもしれない。
私が横入りをして、唯人さんを奪ったのだと。
「莉佐のせいにするのはやめろよ」
唯人さんにたしなめられ、お母様は気に入らないとばかりに口を真一文字に引き結んで押し黙った。
「俺も結麻さんもお互いに乗り気じゃなかった。縁がなかったんだよ」
「結麻さんと結婚すれば、互いの会社に利益をもたらすわ!」
「そういう打算的な考えが透けて見えたから、向こうも嫌だったのかもな」
「なんですって!」
せっかく落ち着いて話せていたのに、唯人さんのひとことでお母様のこめかみに青筋が立ち、私は瞬間的にハラハラした。
しかし、結麻さん側が結婚の話を断ったのだろうか。そう聞こえたけれど。
「海老原さん、唯人には結麻さんがいるとわかった上で、あなたがふたりの邪魔をしたんじゃないの?」
「いえ、あの……」
私が結麻さんになにか意地悪をしたとか、仲を引き裂く工作をした覚えはないけれど、お母様からすればそう見えたのかもしれない。
私が横入りをして、唯人さんを奪ったのだと。
「莉佐のせいにするのはやめろよ」
唯人さんにたしなめられ、お母様は気に入らないとばかりに口を真一文字に引き結んで押し黙った。
「俺も結麻さんもお互いに乗り気じゃなかった。縁がなかったんだよ」
「結麻さんと結婚すれば、互いの会社に利益をもたらすわ!」
「そういう打算的な考えが透けて見えたから、向こうも嫌だったのかもな」