恋する理由がありません~新人秘書の困惑~
親会社は㈱オーシャンブルーという社名で、最近主にテレビのCS番組に進出している美容品通販会社である。
出勤してみて初めてわかったのだけれど、私は副社長付きの秘書になるらしい。それを告げられたとき、浮かべていた笑みが一瞬引きつった。
秘書課で単純に地味な事務仕事をするのだと勝手に思っていただけに、この異動は自分の想像よりもはるかに大変なことではないかと、ここに来てようやく私は現状を理解した。
「海老原さん、前の会社でも秘書の仕事をしていたの?」
入社して三日が経った。
慣れない私の面倒を見てくれるのは、秘書課の先輩である秋本さんだ。
彼女は外見も所作も上品で、秘書の仕事をそつなくこなしていてとても素敵な女性である。
「いえ、前の会社では総務課にいました」
「そうなのね。じゃあ秘書は初めて?」
「はい。そんな私がなぜここに異動になったのか未だに謎です」
私が苦笑いすれば、秋本さんはそれ以上のにっこりとした笑みを返してくれた。
秘書課の中には、女性特有のマウンティングをしてきそうな感じの人もいるけれど、秋本さんだけは明らかに穏やかで、私の教育係が彼女で本当に良かったと思う。
「副社長ってどんな方ですか? 初日のご挨拶と、仕事の確認で昨日少し話したくらいなので、まだ全然わからなくて……」
「一見クールだけど、基本やさしいから大丈夫よ」
出勤してみて初めてわかったのだけれど、私は副社長付きの秘書になるらしい。それを告げられたとき、浮かべていた笑みが一瞬引きつった。
秘書課で単純に地味な事務仕事をするのだと勝手に思っていただけに、この異動は自分の想像よりもはるかに大変なことではないかと、ここに来てようやく私は現状を理解した。
「海老原さん、前の会社でも秘書の仕事をしていたの?」
入社して三日が経った。
慣れない私の面倒を見てくれるのは、秘書課の先輩である秋本さんだ。
彼女は外見も所作も上品で、秘書の仕事をそつなくこなしていてとても素敵な女性である。
「いえ、前の会社では総務課にいました」
「そうなのね。じゃあ秘書は初めて?」
「はい。そんな私がなぜここに異動になったのか未だに謎です」
私が苦笑いすれば、秋本さんはそれ以上のにっこりとした笑みを返してくれた。
秘書課の中には、女性特有のマウンティングをしてきそうな感じの人もいるけれど、秋本さんだけは明らかに穏やかで、私の教育係が彼女で本当に良かったと思う。
「副社長ってどんな方ですか? 初日のご挨拶と、仕事の確認で昨日少し話したくらいなので、まだ全然わからなくて……」
「一見クールだけど、基本やさしいから大丈夫よ」