恋する理由がありません~新人秘書の困惑~
私はパスタを咀嚼しながら大きくうなずいた。
秋本さんの言うとおりだ。副社長が社内にいたとしても、会議や来客もあるし、日々忙しくしている。タイミングが悪ければ来ても会えないだろう。
それを回避するには電話なりメールなりで副社長にスケジュールを聞けばいいだけだが、最近健吾さんはアポなしでやって来る。たしかに奇妙だ。
「昨日はそれだけじゃなかったのよ。私がトイレに行って戻ってきたら、デスクにこれがあったの」
秋本さんは自分のバッグから長方形の箱を取り出して私に見せてくれた。
「それ、なんですか?」
「香水。健吾さんが置いていったみたい」
秋本さんが箱から中身の物を取り出せば、淡いオレンジ色の四角い小瓶が現れた。
蓋の部分にはリボンの装飾があって、かわいらしいブランドのものだ。海外のお土産かもしれない。
「これ、私にプレゼントって意味だよね」
「もちろん、そうでしょう」
「でもいただけないから、お返ししたほうがいいと思って、今朝副社長に話したのよ。そしたら、迷惑じゃないなら貰ってやってくれないか、って」
なんとなくだけど、そのとき副社長は苦笑いしていただろうと想像できた。
普段健吾さんは陽気なキャラを演じているだけで、本当はシャイな人なのかもしれない。
秋本さんの言うとおりだ。副社長が社内にいたとしても、会議や来客もあるし、日々忙しくしている。タイミングが悪ければ来ても会えないだろう。
それを回避するには電話なりメールなりで副社長にスケジュールを聞けばいいだけだが、最近健吾さんはアポなしでやって来る。たしかに奇妙だ。
「昨日はそれだけじゃなかったのよ。私がトイレに行って戻ってきたら、デスクにこれがあったの」
秋本さんは自分のバッグから長方形の箱を取り出して私に見せてくれた。
「それ、なんですか?」
「香水。健吾さんが置いていったみたい」
秋本さんが箱から中身の物を取り出せば、淡いオレンジ色の四角い小瓶が現れた。
蓋の部分にはリボンの装飾があって、かわいらしいブランドのものだ。海外のお土産かもしれない。
「これ、私にプレゼントって意味だよね」
「もちろん、そうでしょう」
「でもいただけないから、お返ししたほうがいいと思って、今朝副社長に話したのよ。そしたら、迷惑じゃないなら貰ってやってくれないか、って」
なんとなくだけど、そのとき副社長は苦笑いしていただろうと想像できた。
普段健吾さんは陽気なキャラを演じているだけで、本当はシャイな人なのかもしれない。