恋する理由がありません~新人秘書の困惑~
「まず、水を飲め」
運転席と助手席のあいだに置いてあったペットボトルの水は、副社長が飲んでいたものだ。
買って間もないのか、容器の外側に結露がついているのが見えた。
喉が渇いているし、冷たくておいしそうだからいただきたいが、飲みかけのものを私が貰ってもいいのだろうか。
私は別に嫌じゃないけれど……などと考えていたら、副社長はペットボトルの蓋を開け、私に渡すのかと思いきや自分が口をつけた。
「くれないんですか?」と言おうとしたところで、副社長は助手席の私に突如覆いかぶさって唇を塞いだ。
だけどこれは単なるキスではない。合わさった副社長の唇から私の口の中へ冷たい水がどんどん流れこんでくる。
「んんっ……」
驚いて副社長の腕を咄嗟に掴む。入って来た一定量の水をゴクリと飲みこむと、副社長の唇がそっと離れていった。
「なにをするんですか」と抗議をしようとしたが、不安の色を隠せずに揺らいでいる副社長の瞳を見たら、なにも言えなくなった。
こんなに余裕なく焦っている副社長を見るのは初めてだ。
運転席と助手席のあいだに置いてあったペットボトルの水は、副社長が飲んでいたものだ。
買って間もないのか、容器の外側に結露がついているのが見えた。
喉が渇いているし、冷たくておいしそうだからいただきたいが、飲みかけのものを私が貰ってもいいのだろうか。
私は別に嫌じゃないけれど……などと考えていたら、副社長はペットボトルの蓋を開け、私に渡すのかと思いきや自分が口をつけた。
「くれないんですか?」と言おうとしたところで、副社長は助手席の私に突如覆いかぶさって唇を塞いだ。
だけどこれは単なるキスではない。合わさった副社長の唇から私の口の中へ冷たい水がどんどん流れこんでくる。
「んんっ……」
驚いて副社長の腕を咄嗟に掴む。入って来た一定量の水をゴクリと飲みこむと、副社長の唇がそっと離れていった。
「なにをするんですか」と抗議をしようとしたが、不安の色を隠せずに揺らいでいる副社長の瞳を見たら、なにも言えなくなった。
こんなに余裕なく焦っている副社長を見るのは初めてだ。