恋する理由がありません~新人秘書の困惑~
「すみません、とりあえず麦茶で。コーヒーも紅茶もハーブティーもあるので、あとで……」
「そんなのいいから休めよ。病院帰りなんだから動いてないでここに座れ」
氷が入ったグラスに麦茶を注いで持って行くと、副社長はキッチンに戻ろうとする私の手首を掴んで自分の隣に座らせた。
点滴で回復したとはいえ、道ばたで倒れたところを助けてもらった身なので、心配されるのも無理はない。
「体はもう本当に大丈夫です。副社長はやさしいですね。ご自身の秘書には、今までもこんなに手厚く接していたんですか?」
「そんなわけないだろ」
こうして否定してほしいがために、私はいつになく含みのある物言いになった。
隣に座っている副社長の様子が気になって視線を向ければ、思っていたよりも顔が近くにあり、間近で見ると整った顔立ちなのが一段とよくわかる。
「俺が誰にでもやさしいとでも?」
「……」
「そんなのいいから休めよ。病院帰りなんだから動いてないでここに座れ」
氷が入ったグラスに麦茶を注いで持って行くと、副社長はキッチンに戻ろうとする私の手首を掴んで自分の隣に座らせた。
点滴で回復したとはいえ、道ばたで倒れたところを助けてもらった身なので、心配されるのも無理はない。
「体はもう本当に大丈夫です。副社長はやさしいですね。ご自身の秘書には、今までもこんなに手厚く接していたんですか?」
「そんなわけないだろ」
こうして否定してほしいがために、私はいつになく含みのある物言いになった。
隣に座っている副社長の様子が気になって視線を向ければ、思っていたよりも顔が近くにあり、間近で見ると整った顔立ちなのが一段とよくわかる。
「俺が誰にでもやさしいとでも?」
「……」