おじさんには恋なんて出来ない
番外編 第一話 再会
美夜と辰美はしばらく見つめ合った。
あれからどれほど経っただろうか。美夜は今年で三十歳になろうとしている。
久しぶりに見る辰美は六年の月日を感じさせないぐらい、相変わらず素敵だった。多少歳をとったと感じるが、それほど老けてはいない。
ああ、どう言えばいいだろう。言葉が見つからない。せっかく会えたのに、上手い言葉が出てこない。とても言い表せない思いが込み上げてくる。
「……お久しぶりです」
やがて辰美の方が口を開いた。
美夜は少しショックを受けた。自分達は別れて他人になった。分かっているが、他人行儀な態度は辰美の想いが離れてしまったように感じさせた。
「……はい。お久しぶり、です。辰美さん……」
一瞬、日向さんと呼ぶべきだったろうかと考えた。瞳を落とす美夜に、辰美は言った。
「もう弾かないんですか」
「あ────」
聴きたいのだろうか。まさか辰美に会えるとは思っていなかったから、動揺している。こんな状態ではミスしそうだが、辰美が願っているなら弾かなければならないだろう。
さっきまでは流行りの曲を弾こうと思っていたのに、辰美が現れてしまったから辰美が好きだった曲を咄嗟に弾いてしまった。これじゃまるで辰美のためのコンサートだ。
こうしてピアノを弾きながらも、あれこれ疑問が浮かぶ。集中なんてまったくできない。
なぜ辰美は自分に会いにきたのか。この数年間どうしていたのか。元妻とのことはどうなったのか。自分のことを、どう思っているのか────。
曲を弾き終えてもう一度辰美の方を見ると、辰美は嬉しそうに笑っていた。いつかと同じ笑顔だ。
────また、辰美さんが笑ってる顔を見れるなんて。
最後に見た彼が悲しい顔をしていたから、本当に遠い日が帰ってきたように感じる。
あれからどれほど経っただろうか。美夜は今年で三十歳になろうとしている。
久しぶりに見る辰美は六年の月日を感じさせないぐらい、相変わらず素敵だった。多少歳をとったと感じるが、それほど老けてはいない。
ああ、どう言えばいいだろう。言葉が見つからない。せっかく会えたのに、上手い言葉が出てこない。とても言い表せない思いが込み上げてくる。
「……お久しぶりです」
やがて辰美の方が口を開いた。
美夜は少しショックを受けた。自分達は別れて他人になった。分かっているが、他人行儀な態度は辰美の想いが離れてしまったように感じさせた。
「……はい。お久しぶり、です。辰美さん……」
一瞬、日向さんと呼ぶべきだったろうかと考えた。瞳を落とす美夜に、辰美は言った。
「もう弾かないんですか」
「あ────」
聴きたいのだろうか。まさか辰美に会えるとは思っていなかったから、動揺している。こんな状態ではミスしそうだが、辰美が願っているなら弾かなければならないだろう。
さっきまでは流行りの曲を弾こうと思っていたのに、辰美が現れてしまったから辰美が好きだった曲を咄嗟に弾いてしまった。これじゃまるで辰美のためのコンサートだ。
こうしてピアノを弾きながらも、あれこれ疑問が浮かぶ。集中なんてまったくできない。
なぜ辰美は自分に会いにきたのか。この数年間どうしていたのか。元妻とのことはどうなったのか。自分のことを、どう思っているのか────。
曲を弾き終えてもう一度辰美の方を見ると、辰美は嬉しそうに笑っていた。いつかと同じ笑顔だ。
────また、辰美さんが笑ってる顔を見れるなんて。
最後に見た彼が悲しい顔をしていたから、本当に遠い日が帰ってきたように感じる。