おじさんには恋なんて出来ない
番外編 第三話 これからもどうぞよろしく
美夜がその知らせを聞いたのは、いつも世話になっている音楽仲間との集まりだった。
「えっ結婚するんですか!」
「そうなんだよ。まあ、長いこと付き合ってたから今更なんだけど」
ベーシストのヒロは照れたように言った。相手はどうやら、高校の時の同級生らしい。
今をときめく人気バンドのベーシストが結婚。これはテレビで騒がれるだろうなあと思いながら、美夜はお祝いの言葉を告げた。
「おめでとうございます。式はいつですか?」
「来年の四月。ミヤも招待するから」
「楽しみにしてます」
「それで、頼みがあるんだけどさ」
「なんですか?」
「挙式でオルガン弾く人いるだろ。あれ、お願いできないか?」
「え、私がですか?」
「頼むよ。嫁さんがミヤにやって欲しいって言って聞かないんだ」
どうも話を聞くと、ヒロの奥様は美夜がよく一緒に仕事する韓国アイドルの大ファンだという。そう言うわけで、ツアーの度に連れて行かれる美夜のもことも知っていたらしい。応援しているアイドルのサポートメンバーを結婚式に呼ぶ────。ドルオタにとってはまさに卒倒ものだ。
美夜としては特に断る理由はない。結婚式で演奏したこともオルガンを引いたこともないが、教われば弾けないことはないだろう。一応、ピアニストとしてのプアライドがある。せっかく友人が頼んでいるのに、つまらない理由で断りたくはない。二つ返事で引き受けた。
「ありがとう。嫁さんに伝えておくよ」
「えっ結婚するんですか!」
「そうなんだよ。まあ、長いこと付き合ってたから今更なんだけど」
ベーシストのヒロは照れたように言った。相手はどうやら、高校の時の同級生らしい。
今をときめく人気バンドのベーシストが結婚。これはテレビで騒がれるだろうなあと思いながら、美夜はお祝いの言葉を告げた。
「おめでとうございます。式はいつですか?」
「来年の四月。ミヤも招待するから」
「楽しみにしてます」
「それで、頼みがあるんだけどさ」
「なんですか?」
「挙式でオルガン弾く人いるだろ。あれ、お願いできないか?」
「え、私がですか?」
「頼むよ。嫁さんがミヤにやって欲しいって言って聞かないんだ」
どうも話を聞くと、ヒロの奥様は美夜がよく一緒に仕事する韓国アイドルの大ファンだという。そう言うわけで、ツアーの度に連れて行かれる美夜のもことも知っていたらしい。応援しているアイドルのサポートメンバーを結婚式に呼ぶ────。ドルオタにとってはまさに卒倒ものだ。
美夜としては特に断る理由はない。結婚式で演奏したこともオルガンを引いたこともないが、教われば弾けないことはないだろう。一応、ピアニストとしてのプアライドがある。せっかく友人が頼んでいるのに、つまらない理由で断りたくはない。二つ返事で引き受けた。
「ありがとう。嫁さんに伝えておくよ」