おじさんには恋なんて出来ない
第十六話 幸せにはなれない
「……二百五十円のお釣りです。ありがとうございました」
硬貨を差し出された手のひらの上に渡す。浅く頭を下げながら、美夜は抑揚のない声でお礼を言った。
レジには次の客が来ていたが、頭がぼうっとしていつものようにシャキシャキ動けない。
「美夜ちゃん、どうしたの?」
そんな調子で仕事しているものだから、おかしいと思ったのだろう。詩音に尋ねられると、ぼうっとした頭がようやく覚醒し始めた。
朝に見たあの手紙のせいだ。あれからずっと、そのことを考えていた。
「ぼーっとしてると店長に怒られるよ。うちの店舗、売り上げ下がってるってぼやいてたから」
「うん……」
「……本当にどうしたの? 何かあった?」
「ごめん……。バイト終わったあと、時間ないかな」
詩音は困ったように首を傾げたが、やがて分かったと頷いた。
「いいよ。話そ。あんまり無理しないでね」
いつまでもぼうっとしているわけにもいかず美夜は気持ちを入れ替えて仕事することにした。だが、思っているより難しい。その後も何度かミスを繰り返し、ようやくその日のバイトは終わった。
硬貨を差し出された手のひらの上に渡す。浅く頭を下げながら、美夜は抑揚のない声でお礼を言った。
レジには次の客が来ていたが、頭がぼうっとしていつものようにシャキシャキ動けない。
「美夜ちゃん、どうしたの?」
そんな調子で仕事しているものだから、おかしいと思ったのだろう。詩音に尋ねられると、ぼうっとした頭がようやく覚醒し始めた。
朝に見たあの手紙のせいだ。あれからずっと、そのことを考えていた。
「ぼーっとしてると店長に怒られるよ。うちの店舗、売り上げ下がってるってぼやいてたから」
「うん……」
「……本当にどうしたの? 何かあった?」
「ごめん……。バイト終わったあと、時間ないかな」
詩音は困ったように首を傾げたが、やがて分かったと頷いた。
「いいよ。話そ。あんまり無理しないでね」
いつまでもぼうっとしているわけにもいかず美夜は気持ちを入れ替えて仕事することにした。だが、思っているより難しい。その後も何度かミスを繰り返し、ようやくその日のバイトは終わった。