愛しているから殺させて
「あとは私が着替えるだけね」

汚れた服やエプロンを脱ぎ、ブランシュはシャワーを浴びる。そして彼女は今日のために買ったドレスを取り出した。ワインレッドの胸元が空いたセクシーなドレスだ。寂しい首元にネックレスをつけ、メイクもしっかりする。

「これであとはピーターが帰ってくるのを待つだけね」

時計を見ると、六時半を過ぎたところだった。ピーターが帰ってくるのを心待ちにしながら、ブランシュは足りないものがないか確認していく。その時、あることに気がついた。

「大変!お酒、ピーターの好きなものがなかったわ」

乾杯用のシャンパンを用意した後に飲むお酒の確認をしたところ、棚にピーターのお気に入りのお酒がなかった。

「……買ってきてあげよう」

服はドレスのまま、かばんを片手にブランシュは外に出る。夕暮れという時間帯は、どこか不思議な気持ちになる。道を歩けばカップルが腕を組んだりして楽しげに歩いていた。
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