愛しているから殺させて
（今度の休みの日、二人で外でデートしたいな……）

そんなことを考えながらカップルたちを見ていると、ピーターの姿が目に止まり、思わず足を止める。ピーターの隣には美しいブロンドの髪をした女性がいた。

「誰……？」

ドクドクと心臓が嫌な音を立てる。緊張しながらブランシュは二人に見つからないように距離を縮めていった。距離が近付くごとに二人が何を話しているかがわかる。そう、最悪な会話であっても。

「そういえば、家に帰らなくていいの？彼女さんが待ってるんじゃなかったっけ？」

「いや、いいんだよあいつなんてさ。あいつは馬鹿で金持ちだからキープしてるだけであって、愛してるのは君だけだから」

プツリとブランシュの中で何かが切れる音がする。ブランシュは今回も裏切られていたのだ。しかも、金持ちという理由だけで関係が続いているのだと知ってしまった。

二人がホテルに入っていくのを見ると、ブランシュの中にどす黒い怒りが込み上げてくるのがわかった。こんなに怒りを感じるのは初めてで、ブランシュ自身驚いてしまう。
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