愛しているから殺させて
ブランシュが仕事に行くために支度をしていると、「頭痛〜……」と言いながらダルそうにピーターが起きてくる。ピーターとはこの家ができた直後から同居中だ。

「おはよう、ピーター」

「うん、おはよう。今日のお昼代と遊ぶお金ちょうだい?」

起きてすぐ、ピーターはお金の催促をする。ピーターは医大を途中でやめてしまい、アルバイトをするも長続きせず、今は無職だ。お金はブランシュが渡している。

「ピーター、さすがにそろそろ働いた方がいいんじゃない?」

ブランシュは毎日のようにこの言葉をいうようになった。いいお給料をもらっているとはいえ、ずっとお金を渡し続けることに抵抗感を覚え始めたのだ。

「はあ?俺に合う仕事がないだけだし。お前がそんな口うるさい女だとは思わなかったわ」

仕事の話をすると、いつもピーターは怒る。働く気はゼロだ。このままずっと寄生されるのか、とブランシュは少し恐ろしくなる。

家事をしてくれるならまだしも、ピーターは家事すらブランシュに丸投げだ。そして自分は遊び回っている。
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